こんにちは。
新型コロナウィルスの流行に伴い、アメリカでは心筋梗塞患者が30-40%減っているというニュースがあります。これは、心臓病にならなくなったという理由ではないようです。
心臓の症状があってもコロナが怖いため自宅で外出自粛していて、病院に到達できずに心筋梗塞という診断なく(本当は心筋梗塞で)亡くなってしまった方が増えているためではないかと推測されています。
外出の自粛は大事ですが、胸の重い・痛い、息苦しいなどの症状がある場合などは受診が必要です。まずお電話でご相談ください。

前回・前々回と理学療法士の後藤より、有酸素運動・筋トレの話をさせていただきました。
今回は、心臓や肺と一見はつながっていなさそうな足の筋力が大事であることを『ワッサーマンの歯車』を使って、復習したいと思います。

心臓、肺、血管、筋肉、みんなでワンチーム

「ワッサーマンの歯車」

「青木内科かわら版 vol.4」で、体を動かすために心臓や筋肉・血管などそれぞれ重要であるお話しをしました。ややこしくなるので前回はお話に加えておりませんでしたが、もちろん肺も重要です。
体が動くためにはあらゆる臓器・組織が連携して、みんなで頑張らないと、動けません。
まさしく、「ワンチーム」の働きが必要です。

ワッサーマン先生という非常にご高名な先生が、体を動かすための原理をごく簡単に「ワッサーマンの歯車」として世に出されました。簡単に下にまとめます。

酸素を使って、体を動かすエネルギーを作るためには、それぞれの臓器が協力することが大事です。仮に心臓や肺の働きが衰えてしまったとしても、それを他の臓器が助けることができれば、体は動きます。
筋力をつける(歯車を強化する)ことが心臓や肺の病気の患者様の助けとなり、
また運動する(歯車をまわす)ことで、それぞれの臓器の連携を強化することができます!

私たちのからだは、心臓や肺や筋肉・血管などのワンチームで動いています。
新型コロナウィルスに対しても、全世界ワンチームで勝利していきたいですね。

それぞれの臓器の働きを個別、かつ総合的にチェックする「CPX」

通常、医学的な検査は各臓器のみを評価するものが多いのですが、
当院でも施行しております心肺運動負荷試験「CPX」は酸素や二酸化炭素の代謝をみて、複合的な体の働きを評価して心臓・肺・筋肉などそれぞれの経路のどこに問題があるかを評価する検査です。
心臓の病気の患者様のからだの状態を評価するにはうってつけの検査で、心臓リハビリテーションの際の、最も効果的で安全な運動を決める「運動処方」する場合に必要とされています。
感染リスクの高い現在、残念ながら検査は休止しておりますが、感染が終息次第再開します。

当院では3月に入ってからは外来心臓リハビリテーションを休止しております。新型コロナウィルス感染のリスクを減らしていただく為の苦渋の決断でした。毎週通っていただいていた患者様方が、一人で運動できているか、モチベーションを維持できているかがとても心配です。本稿が家庭での運動療法のモチベーションの維持につながる事を願っております。お読みいただきありがとうございました。

青木内科 青木 聡一郎